シドニー住人が教えるアボリジニの文化

アボリジニのディジュリドゥ

天地創造の神話「ドリームタイム」を語り継ぐ先住民族アボリジニたち。 シドニーにもアボリジニの数はとても多く、その貧富の差や暴動などはたまに問題になります。 逆に、スポーツ選手の中にもアボリジニの人が活躍する場面も多く、社会に上手く調和されている場面もあります。
もともとオーストラリアはアボリジナルの楽園でした。イギリス人にその大陸を略奪された背景を知ると複雑な気分になります。 シドニー観光の際にはアボリジニの基本的な知識は身に着けてから来ましょう。 きっとシドニー観光の充実感も倍増することでしょう。


アボリジニの概要
アボリジニの語源はラテン語で「Aboriginal」で、「オーストラリアに元々住んでいたもの」という意味でした。 アボリジニがオーストラリアにいつ来たかを示す絶対的な証拠は見つかっていませんが、 1987年に見つかった石器類が5万3000〜6万年前のものだと判明し、 6〜7年前にオーストラリア大陸にやってきたと考えられています。 また、アボリジニは陸続きの時代にインドネシアなど東南アジアから来たという説が一般的です。
広い大陸に駐在するアボリジニは、地域によって全く違う生活習慣や食文化、芸術を育んできました。 例えば、言語を大きく分けると25種類以上あるように、まとめてアボリジニといってしまうのは多少無理があります。 勿論、各地域のアボリジニでも共通することはあります。 文字は基本的に持たず、また狩猟民族で農業は行いません。 伝統的にはアルコールは存在せず、スキンネームや半族という考え方があり、そのスキンネームによって結婚相手が決めれています。

アボリジニのドリームタイム
アボリジニは代々「ドリームタイム」という天地創造の神話を語り継いできました。 ここでのドリームは、いわゆる「夢」ではなく、「生活する、旅をする」の意味です。 人間が旅をすれば、そこに足跡が残るのと同じように、エネルギーやスピリットが残ると信じています。 アボリジニはそのエネルギーやスピリットを残す行為を「ドリーミング」、そのドリーミングが行われた時間を「ドリームタイム」と呼んでいます。
「ドリームタイム」には3つの重要な時代があります。 「始まりの時代」は何も存在しない暗黒の時代、「創造の時代」はドリーミングにより天地や動植物が生まれた時代、 そして最後の「伝承の時代」が現代を含む時代を指します。 アボリジニは部族の歴史や生きるために必要な知恵といった「創造の時代」の考えを、 絵を描いたり歌を歌うことで語り継ぎながら生きてきました。 「伝承の時代」の時代の現代では、そのようにドリーミングの痕跡をたどることを「ドリーミング」と呼んでいます。

アボリジニのディジュリドゥ
「世界最古の管楽器」といわれているディジュリドゥ(右上の写真)は、アボリジニが1000年以上も前に使い始めたといわれています。 その音色は、地に鳴り響くような重低音でとても幻想的です。 ヒーリング効果もあるといわれ、民族の儀式ばかりでなく、病気の治療などにも使われていました。 男女の役割がはっきりしているアボリジニの文化ではディジュリドゥは男性の楽器だとされています。 女性が演奏すると妊娠してしまう、または妊婦が吹くと流産してしまうなど、 部族によって様々な説があります。 また、ディジュリドゥという名称は白人がつけた名前であり、 その音色が「ディジュリドゥ〜、ディジュリドゥ〜」と聞こえたかららしいです。 アボリジニの言語では、地域によって「YIDAKI(イダキ)」「Bamboo(バンブー)」など様々な呼び名があります。 現在、ディジュリドゥはヒーリング音楽として世界中で注目されています。
アボリジナニの楽器ディジュリドゥは、シドニー内オペラハウスの近くなどでたまに道端で演奏しています。 現代楽器と組み合わせてひとつの音楽文化が形成されつつある感じもあります。 その音色はとても不思議なもので歩いている人々を魅了しています。